僕は、31歳にして2度の転職を経験しております。
1社目を辞めたときは次の会社が決まっていましたので、空白期間ができることはありませんでした。
しかし、2社目では適応障害による3ヶ月間の休職を経て、逃げるように辞めたので次の仕事も決まっておらず、そのままニートになりました。
会社を辞めて間もない頃は圧倒的な開放感に浸り、最高な気分でした。
しかし、その最高な気分も1ヶ月足らずで終わりを迎えます。
その後やってきたのは、自分の未来が見えない圧倒的な不安感と社会から隔離されているようなひどい孤独感でした。
今振り返っても、ニート期間は本当にしんどかったです。
しかし、ニートの経験は僕の人生観を大きく変えてくれるきっかけになりました。
今では一度ニートになって良かったと思っています。
目次
ニートを経験して良かったと思う5つの理由
退職後の燃え尽き症候群を知った
燃え尽き症候群・・・仕事一筋で頑張ってきたお父さんが定年退職を迎えたときに訪れると言われる現象ですね。
やることが無くなり、ぼーっとする日々を過ごしていくうちに元気を無くしてしまうんですね。
ニートになるとこれと同じ症状になります。
最初の1ヶ月ぐらいは会社から開放された自由な生活に気分が高まりますが、それもほんのひと時だけです。
毎日やるべきことが無い生活というのはニート経験の無い方が想像している以上に、全く刺激の無いものでつまらないです。
会社にいて普通に仕事をしていると何かしら誰かの役に立つことができます。日常的過ぎて、みんな意識することでは無いことだと思いますが・・・
でも、いざ仕事を辞めて何もしない日々が続くと自分が誰の役にも立っていないことをじわじわと実感し始めるんですよ。これって結構辛いんですよ。
だんだん自分の生きている理由が分からなくなります。
人ってなんだかんだで誰かに必要とされたい欲求があるものなんですねぇ~
大した仕事をしていなかった僕でさえこんな気持ちになるんですから、懸命に会社や部下のために頑張っていた人が定年を迎えたら、そりゃあ無気力にもなりますよ。
大学のアルバイト時代から仕事が嫌だった僕は、常に「絶対に早期リタイアして自由な生活を手に入れてやるぜ!」と粋がっていました。が、実はその生活は全く刺激が無くつまらないものだということに気付きました。
これが個人的にニートを経験して良かったと思える最大の理由です。
今では、定年を迎えても何かしらの仕事をして、誰かの役に立ちたいという所存です。
組織に属さない孤独感を知った
(保育園)
→幼稚園
→小学校
→中学校
→高校
→(大学)
→職場
と、学校を中途大学したり、卒業時に就職が決まらなかったり、僕のように次の会社を決めずに退職するなどのイレギュラーなことが無ければ、通常人は何かしらの組織に属して生きています。それを物心がついて間もない頃からず~っと続けています。
そのため、属する組織が無くなったときの心境を知る機会がほとんどありません。
ですから、嫌なことがあったとき軽い気持ちで「一人で生きていきたい」「会社から抜け出して自由になりたい」などと考えてしまうんですね。これはかつて会社が嫌で嫌で仕方なかったときの僕の心境です。
でも、実際に会社を辞めて自分がどの組織にもいない自由な状況になるとひどい孤独感と不安感に包まれるんです。
僕はあの心境を二度と味わいたくないと思っています。
フリーランスや経営者として働いている人のブログを読んでいるとほとんどの方が孤独感に襲われていることが分かります。
会社を立ち上げて経営者をやっていた方が結局サラリーマンに戻ってしまうのもこの孤独感が大きな要因のひとつになっています。
うまくフリーランス生活を続けている人は何かしら工夫して人と接点を持つようにしています。
それほど、自分が誰かと繋がっていない状況というのは僕たち人間には辛いんです。
会社にいけば自分の仕事があります。誰かがいます。その誰かと肩を並べて仕事ができます。任せられた仕事をこなせば会社の一員として立派に認められます。大した生産性の無い話もちょっとできたりします。
当たり前のような日常は実は当たり前ではなく非常にありがたいことだったんですよ。
ニートになることで組織に属するありがたみに気づけたことがニート経験してよかったと思える理由のひとつですね。
今後は一人で生きていきたいなどと思うことは無いでしょうね。
自分がどういう生き方・仕事をしたいのかを見つめ直せた
僕は小さい頃から将来の夢ややりたいことがありませんでした。
ましてやどんな生き方をしたいか、どんな仕事に就きたいかなど考える機会もありませんでしたね。
仕事選びの基準は、「とりあえず休みが多くて楽」でした。
そんな僕ですが、2社の会社に勤め、その後ニートになることで初めて自分の生き方や仕事について真剣に考えるようになったんです。
休みが多くて楽なのは大変素晴らしい条件なのですが、それだけではちょっとうまくいかないことがあったときにすぐに折れてしまいます。
前職は上司が原因でやる気を失い、仕事がつらくなり適応障害となって退職したのですが、もし仕事に対する目標や将来を見据えた何かがあれば仕事に対する取り組み方も変わって、乗り越えられていたと思います。
そこで初めて、適当な仕事選びではダメだと感じたのです。
とはいえ、いきなりやりたい仕事など見つかるはずがありませんよね。
今ではやりたい仕事と目標ができた僕ですが、どうやって見つけたのか・・・こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:
何の目標も無くニートになった僕がやりたい仕事を見つけて、人生やり直した話
ニートを経て自分の人生について考えられるようになったのがニートを経験してよかったと思うひとつの理由です。
人生どうにかなるということを身をもって実感できた
「次の仕事を決めずに会社を辞めたら人生おしまい」
「ニートになったら社会復帰なんて不可能」
世間で良く言われていることです。
ですが、これは全くのデマです。多少の空白期間があっても社会復帰はそんなに難しくないですし、余裕で再就職できます。
僕の場合は6ヶ月間の職業訓練に通うことで人と接する恐怖が無くなりましたし、やりたい仕事も見つけられました。
以前はなかなか会社を辞める決心がつかなかったですが、今では
「辛いほど辞めたくなったら辞めてしまえばいい」
「自分を必要としてくれる職場なんて他に山ほどある」
という考えです。
今の会社に転職して半年ぐらいになりますが、実は未だに入社前に約束されていたやりたい仕事をやらせてもらえず、つまらないので既に再転職を考えています。
それぐらい仕事を辞めるのは難しい話では無いんですね。
ニートを経験し、再就職することで「あぁ、仕事なんてどうにかなるんだなぁ」と実感しました。
そして、仕事がどうにかなれば人生もどうにかなります。仕事なんてライフスタイルの一部に過ぎないんですよ。
それを身をもって体感することで気楽に生きられるようになったので、ニートを経験して良かったなぁと思いますね。
自分の無力さを知り、人に優しくなれた
会社にいる限り、人は何かしらの仕事やポストが与えられます。その仕事をこなしている内に段々と自信がついていきます。
仕事に対して自信が付いてくるのは大変素晴らしいことです。
ですが、それが行き過ぎると傲慢に変わります。
「俺は他のやつらよりできる人間なんだ!」
「こんな仕事なんてちょろいわ!」
といった具合にね。まぁ、そこまで仕事をこなせるようになることはすごいことだと思いますよ。
でもね、本当にすごいのはその仕事を生み出してくれている会社であったり、うまくマネジメントしてくれる上司だったりするわけです。
たまたま環境に恵まれてて仕事がやりやすいだけかもしれません。
僕も以前仕事がうまくいっていたときは天狗になったりもしましたが、よくよく考えると良い先輩や上司に恵まれていましたし、仕事もそんなに難しいものでも無かったんですよね。
そんな僕ですから、会社を辞めて何かしようとしても何もできません。
「あぁ、俺ってこんなに無力だったんだなぁ・・・」
「一人じゃ何もできねぇんだなぁ・・・」
とニートになってよく分かりました。
それと同時に同じような状況にある人や仕事がうまくいかなくて悩んでいる人に対してものすごく優しくなれました。
うまくいかない人は対外その人自身には問題が無くて、その人をとりまく環境にあることがほとんどです。
ですから、個人が悪いのではないんですよね。それほど人は周りの環境に左右されるんですね。人一人の力なんて微々たるものなんですよ。
以前は「こいつ仕事できねぇなぁ」と思ってしまうこともありましたが、今ではそんな人を見ると「何か悩んでいることでもあるのかなぁ」と心配できるようになりました。
ニートを経験することで辛い人に対して優しくなれるようになったのは大きいなと思います。
まとめ
ニートの経験をすることで、自分の人生の在り方を見直すことができました。
それと自分という人間の弱さをとことん知ることで人に優しくできるようになった気もします。
僕の周りにも無職・ニートを経験したことがある人が何人かいますが、みんな人の痛みが分かる優しい人間です。
一度ニートになるのも案外、悪くないのかもしれませんね。
社会復帰も意外と難しくないので、もし今の仕事が死ぬほど辛くて転職も考える余裕が無いほど追い詰められている人は一度辞めて、ゼロから再スタートすることを検討してみてはどうでしょうか。
関連記事:
仕事は楽しいに越したことはない。でも無理して楽しまなくてもいい